梅雨ももうすぐ終わりとなりそうな炎天下の午後。少し早めに仕事が終わりましたので本日はハサミの手入れでもしようと道具箱からハサミを取り出しますと
そこに変わったハサミが一つ!
これは津軽のリンゴ剪定用のハサミでして、鍛冶職人さんの業物です。
このハサミ、その形状が独特なこともさることながら、挟んだ時の衝撃を軽減するバネやハサミ止めの性質など、それはもうお好きな方にはたまらない逸品です。
そもそも日本で剪定バサミが必要とされたのは、海外からやってきた果樹のリンゴが、青森で広がり、そしてその管理方法の一環として剪定を行う際に、海外の剪定バサミが導入されました。そしてリンゴとともに津軽地方で独特な変遷を辿りました。日本で最も歴史深い剪定バサミと言って差し支えないかと思います。
この独特の形状のハサミを使うと
手首を返さなくても枝が切れます。たくさんのリンゴを剪定するため工夫された形状なんですね。
そして他にもこんなご当地ハサミが!!
ハサミになんか白い変な物がついていますが、これこそ茶摘みバサミの大事な部分。このハサミで枝を切ると
枝が袋に押し込まれまして
袋の下端は閉じられていないので(トンネル状になっていて、手で握って閉じて使います。)ゴミがスルスルと排出されます。そもそも茶摘みをして、積んだ茶葉を回収するために工夫されたハサミなのです。普段使うにはクセがあって、使いどころが難しいハサミなのですが、作業が終わり、掃除も終わり、最後の最後でピョンと飛び出した枝を見つけた時こそ、このハサミが無限の可能性を発揮する瞬間です。でも、せっかくのハサミの出番がこのタイミングなのでなんだか複雑です。
さて、本日もハサミを研いで梅雨明けに備えるとしましょう。
笹部雄作